「分散型ホテル」で地域創生

分散型ホテル

Nowhere Group

空きビルや空き家を宿泊施設へと再生し、地域に点在させて運営する「分散型ホテル」。Nowhere Group(ノーウェアグループ:東京都中野区)は、そのモデルを軸に地域経済を循環させる新たな宿泊の形を描く。東京都中野区で始動した第1号のホテルをハブに、周辺施設と連携しながら省人・無人運営を実現。宿泊を起点に、まちと共に成長するホテル像を提示している。

空きビル、空き家を改修

清掃事業も展開 運営を一括受託

 2025年5月に開業した「OMATSURIBASE(オマツリベース)中野新橋」は、66㎡のワンフロアを1泊3万5000円から貸し出しており、最大収容人数は6人。インバウンド(訪日外国人)のみに注力せず、国内の宿泊需要も取り込んでおり、開業後の稼働率は平均90%で推移しているという。

 同施設を運営するのが、宿泊施設のプロデュース事業を手がけるNowhere Groupだ。19年の創業以来、リゾート地の別荘を宿泊施設として貸し出したり、投資家向けに新築の施設を開発・販売したりする事業を展開してきた。企画や運営を手がけた施設は累計約80施設となる。

 施設のオーナーから宿泊料の15~20%を運営受託料として受け取る事業モデルで、25年5月期の売上高は3億円となる。グループ会社のCLEANX9(クリンクスナイン:同)で清掃事業も展開しており、物件の開発から集客、運営まで一貫して請け負うことができるのが強みだ。

事業モデル

近隣店の利用促進 施設軸に経済回す

 現在、同社が目指しているのが、狭小エリアで宿泊施設を分散して管理する「分散型ホテル」の開発・運営だ。中野新橋駅の周辺に複数の施設を開発し、省人・無人型ホテルとして運営していくモデルを構想する。OMATSURI BASE中野新橋は、受け付けや周辺施設の案内機能を持ったハブ施設として機能させる。

 竹内剛CEOは、分散型ホテルの特徴を「宿泊施設を軸に循環型の経済圏をつくる仕組み」と説明する。

日本の祭りをモチーフにした宿泊部屋
日本の祭りをモチーフにした宿泊部屋

 ホテルの正面にある喫茶店から朝食を運んでもらったり、近隣の銭湯の利用チケットを宿泊客に配布したりするなどして、地元のサービスを体験してもらうのだ。「宿泊施設の開業は、管理や宿泊客のマナーなどを懸念する地元住民から歓迎されないケースもある。経済を回す仕組みをつくることで、地域を一緒に盛り上げていく存在になり得る」(竹内CEO)。中野新橋駅を中心とした半径2km圏内を目安に、20部屋程度を開設していく考えだ。

 長野県が主催するオープンイノベーション型の地域課題解決プロジェクトでも分散型ホテルが採択された。同社は辰野町と連携して、同町の空き家活用を通じてまちの活性化を図る。静岡市では「昭和レトロを体験できる宿泊施設」として築古の空き家を再生した事例もある。

かるたを模したカード
かるたを模したカードで近隣施設を紹介している
屋台
屋上には縁日の雰囲気を楽しめるように屋台を設置

 今後、ほかのエリアでも分散型ホテルの展開を目指す。まとまった広さの用地取得が難しく、大型ホテルの参入が見込まれないエリアで、戸建てや空き店舗などを活用しながら施設数を増やしていく。


Nowhere Group
東京都中野区
竹内 剛CEO